茨城県労災保険指定医協会

会長あいさつ

会長 島田 裕
会長  島田 裕
 茨城県労災保険指定医協会は、1958年に志村国作先生を初代会長として「茨城県労災保険指定病院協会」として発足し、1971年に改称して現在の名称となりました。以来、労災保険および自賠責保険診療の制度整備とその適正な運用を支えてまいりました。地域特掲料金制度の確立やRIC(労災保険情報センター)導入への先駆的対応など、他県に類を見ない歴史的な取り組みを積み重ねており、歴代会長をはじめ多くの先達の方々が築き上げてこられた歩みに、深く敬意を表します。

 診療の現場では労働に関連したけがや疾病、さらには交通事故への対応を求められることもあり、そのたびに医療と労働現場の接点に立つ指定医の役割の重要性をあらためて実感しております。

 当協会では、「労災診療費算定実務研修会」の開催や広報紙『活』の定期発行、会員医療機関職員功労表彰制度の実施など、制度理解の実務支援に資する活動を展開しています。一方で、診療報酬請求のかかる手続きは制度上複雑であり、医療現場に一定の負担をもたらしています。こうした課題に対しては関係機関と連携しながら、改善と円滑な運用に向けて努めております。

 また、産業構造や就労形態の変化に伴い、労災疾病は多様化しています。過重労働やメンタルヘルス不調、転倒、腰痛といった作業関連疾病、高齢労働者の増加に伴う健康リスクなど、多角的な視点が求められます。産業医の立場からも予防と早期対応の重要性は明らかであり、指定医と産業医の連携強化は今後の重要な課題です。

 現在、協会の会員数は約500医療機関で、RICへの加入率は約77%に達しており、強固な制度的基盤を維持しています。今後もこの基盤を活かし、制度の円滑な運用と診療の質のさらなる向上に協会を挙げて取り組んでまいります。

 引き続き、皆様のご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。